「好き」を言語化し、手を動かし、技術を高める。サイゲームス・山邉純さんに学ぶ、入学前からできること

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『ウマ娘 プリティーダービー』や『グランブルーファンタジー』シリーズは、どんなクリエイターたちによって、どのようにつくられているのでしょうか?

入学予定メンバーや検討者向け「プレスクール」に登壇したのは、両シリーズで知られる株式会社Cygames(サイゲームス)デザイナー本部 副本部長・山邉純さん。

入学前の時間の使い方が変わる内容になりました。

 

1.いまから頑張ってほしい3つのこと

山邉さんがまず贈ったのは、いまから意識してほしい3つのメッセージでした。

1つ目は「熱中できることを大切にしよう」。同社で活躍するあるイラストレーターは、専門学校時代、食事と入浴と睡眠以外の時間のすべてを、絵を描くことに注いでいたといいます。ただ、描きためるだけではもったいないと山邉さんは続けます。

「作品をどんどん公開してください。見てもらうという意識が働き、自然とクオリティが上がっていきます」

2つ目は「インプットする癖をつけよう」。同社所属のキャラクターイラストレーターは、新作アニメのオープニング映像に可能な限り目を通し、絵コンテの違いでキャラクターがどう見栄えするかをいまも研究し続けているといいます。手を動かす時間と同じだけ、見る時間も確保する。プロになってからも、インプットに終わりはありません。

3つ目は「基礎的な分野は日々鍛錬しよう」。「1日10分でもいいので、基礎力アップのための練習を続けてみてください」と呼びかけました。短い時間でも毎日続けることが、入学までの限りある時間をいちばん確実に力に変える方法です。

2.「ぜひ、家族にモデルをお願いして速く正確に描く練習をしてみて」

質疑応答では、具体的な悩みが次々に挙がりました。

――デッサンの練習が続けられず、挫折してしまった経験があります。継続するコツはありますか?

山邉さん「素晴らしい方法があります。家族にモデルを頼むんです。『このポーズで、ちょっと止まってもらっていい?』とお願いする。家族は長い間ポーズを取っていられませんから、『早く!』というプレッシャーとともに仕上げないといけない。描いたデッサンには『私、こんなんじゃないんだけど。ちゃんと描いて』と言われやすくなります。それにめげずに毎日続けると、速く正確に描く力が身につきます」

――初めて制作したゲームを、リリース予定です。ただ、これまでに自分がプレイしたり、好きな作品の影響を受けてしまっていないかが不安です。

山邉さん「大丈夫です、きっと似ていませんよ。自分の作品に自信を持っていいと思います。たくさん作ることがとにかく大事なので、まず作って、完成させて、世に出すことだけを考えてください!」

3.「完成させる」がプロへの第一歩。志望職種別アドバイス

また、プレスクールでは職種ごとの役割や求められる力の解説も行われました。

ゲーム開発は、企画・ゲームデザインに始まり、グラフィック・サウンド・シナリオの制作と開発・実装が並行して進み、α版・β版の作成を経てリリース・運営となります。

・ゲームプランナー:ゲームを面白くするためであれば何でも担当する仕事。発注書からパラメータの調整まで幅広く担います。

・イラストレーター:キャラクターや背景、武器などゲームの世界観を描く仕事。求められるのは、デッサンや解剖学などの基礎力と、イラストを途中で投げ出さずに「完成させる習慣」です。

・UIデザイナー:画面レイアウトやボタン、アイコンなどを作成する仕事。「見やすさ・分かりやすさ」へのこだわりと、なぜこの配置にしたのかを説明できる言語化能力が求められます。

・3DCGデザイナー:キャラクターや背景の「モデリング」、動きをつける「アニメーション」、炎や魔法などの「エフェクト」を手掛けます。ツールはMayaが主流です。

・エンジニア:プログラミング、サーバーサイド開発、ゲームエンジン開発などを担います。「プログラミングをして、何かを完成させた経験」が評価されます。

4.業界研究の第一歩は「ゲーム会社」の役割を知ること

1本のゲームがプレイヤーに届くまでには、役割の異なる企業が関わっています。ゲームを遊ぶ「場」を提供するのが、ハードメーカー/プラットフォーマー。家庭用ゲーム機のメーカーや、スマートフォンのアプリストア、PC向け配信プラットフォームの運営企業がこれに当たります。ゼロから企画を立ち上げ、自社ブランドとして販売するのがパブリッシャーで、国内の大手ゲームメーカーの多くがここに含まれます。サイゲームスも、パブリッシャーとして数多くのオリジナルタイトルを開発・販売してきました。

そして、パブリッシャーが企画したタイトルのシステム開発や、2D・3Dグラフィック制作を担うのがデベロッパー。近年は「協業開発」が広がり、両者の垣根は曖昧になりつつあります。志望する企業がどの役割を担っているのか。それを知ることが、業界研究の第一歩です。

5.「どんなスクール出身か」より実力。業界のリアル

近年の「働き方改革」により、ゲーム業界の残業は減少傾向にあります。その一方で、リリース前などの繁忙期があるのも事実。山邉さんは、業界のリアルも隠さず伝えます。では、進路選びに直結する「どういうスクールからだとゲーム業界に入りやすいのか?」という疑問には……

山邉さん「どんな学校出身かよりも、実力が大切です。ポートフォリオを見て、その方の実力で選考していく企業がほとんどです」と回答しました。

締めくくりに山邉さんが語ったのは、入学までの「限りある時間」の使い方について。

「自分の好きなものを誰かに紹介してみてください。何が良いのか、どんな部分に惹かれているのかを言葉にして相手に伝えることは、絶好の機会になります。そして、ご自身の技術力を高めることは非常に大事。ぜひ今のうちから心がけてみてください」

ゲーム業界への解像度が上がり、いまからすべきことがクリアになる。プロの言葉の熱がまっすぐ届いた、プレスクールとなりました。

【PROFILE】

山邉 純(やまべ じゅん)

株式会社Cygames デザイナー本部 副本部長/デザイン3部 部長

Web制作会社を経て、2012年合流。アニメーションデザイナーとしてゲーム制作に携わり、以降はデザイナー本部副本部長・アウトゲームの管轄であるデザイン3部部長職、Cygames教育事業の責任者も務める。

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