【大阪校】株式会社工画堂スタジオより百瀬講師&佐久間講師をお招きして。コンセプトアートから納品まで、制作工程における重要ポイントとは?

大阪校
ゲーム学部
eスポーツ学部

 

んにちは。バンタンゲームアカデミー大阪校です!

今回は、株式会社工画堂スタジオ 取締役百瀬寿さん&背景美術監督 佐久間竜一さんをお招きし、オンライン特別授業を行いました。

 

 

<工画堂スタジオ WORKS>

これまでに、イラスト作成&アートディレクションを手掛けた作品は、『COLOSSUS ORDER』『モンスターハンター ハンティングカード』

『パズル&ドラゴンズ トレーディングカードゲーム』『ボウリング王子 PROJECT』など豪華タイトルばかり。

 

また、B to C(Business to Customer:消費者向け)部門では、アイデアファクトリーとの共同開発作品『白と黒のアリス』をはじめ、

『幕末花魁道』、『召喚彼氏~SUMMONERS×LOVERS~』、『夢現Re:Master』、『白衣性愛情依存症』(通称しろこい)

『シンフォニック=レイン』など、幅広いジャンルの作品を数多く手掛けています。

 

百瀬講師「創業は大正5年です。設立当初は、昭和天皇のご著書『生物学御研究所』の装丁など、堅い仕事をしていたんですよ」

 

現在の業務内容は、グラフィックデザイン、教育コンテンツ、イラストレーション、Live2Dによるアニメーション作成、ソフトウェア開発まで多岐にわたります。

 

 

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<求める人材は?>

百瀬講師「愛嬌のある人、諦めない人、誠実な人、オタクな人を求めています。

また、コミュニケーション能力も大切です。相手が何を求めているのかを知る力があるといいですね」とアドバイス。

 

<いよいよ、本題!人気作品『白と黒のアリス』制作工程のポイントとは>

「このタイトルには、入社1年目で背景美術監督として参加しました。いきなりの大仕事で苦戦しながら取り組んだ覚えがあります」と、佐久間竜一講師。

実際の制作フローを、解説していただきます。

 

 

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(1)コンセプトアートについて

「コンセプトアートとは、映画やゲームを作る際に『こんな世界観にしよう』というイメージを表現する絵のことです。

プロジェクトを成功させるために、どうしたら上手くいくのか?そのことだけを考えながら描きます。

『分かりやすさ』がとても大事で、その世界の文化レベル、特産物などを取り込んでいき、絵の説得力を上げていきます。また、制作するときは速度感も求められますね」

 

(2)指示書の制作

「世界観の方針が決まったら、いよいよ制作を開始します。指示書とは、どんな場所で、どんなものが置いてあるのか。

描き始める際に必要な説明書のことです。例えば、これはアリスのお茶会で登場する背景です。

金属の質感、ライティングの位置、小物の密度感などの説明を延々と貼りつけ、文字で起こしていきます。

必要であれば絵で起こすこともあります。ちなみに、僕はひとりで50枚以上制作しました……」

 

(3)発注

「指示書が終わったら、発注していきます!具体的なフローはディレクション業務になるので割愛しますが

簡単に言うとフリーの作家さんや、イラスト制作を請け負っている会社さんにお願いしていきます。

ここまでで、会社に入っても、ただ絵を描くだけではないということがお分かりいただけたでしょうか?」

 

(4)作家さんからラフがアップされる

「チェックするのは、指示書の設定がしっかり盛り込まれているかどうか。また、パース、ライティング設定や色を見ます」

 

(5)社内監修

「指示書に描かれている設定の小物があるか?柄は合っているか?といったことを調整します。

また、机や小物のパースがおかしいときは、調整します。光と影の関係性も整理していきます」

最後に、仕上げと効果を乗せて完成!

 

 

<制作工程で、大切なことは?>

佐久間講師「最初に定めた方向性(指示書)からブレていないか、初めから最後までしっかりチェックします。

また、主役がハッキリしているか、ライティングの方向性が定まりドラマチックな演出になっているか、小物の密度感、基礎的なパースや空間表現までを丁寧に確認します。

納品する際は『データを見るのは自分だけではない』ということを意識してください」と、締めくくりました。

 

 

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最後は、学生たちからの質疑応答です。

 

Q.仕上げる際、ライティングをどうすればいいのかが分かりません。

佐久間講師「ライティングは、初期段階から考えておく必要があるんですよ。

ライトの方向性は、しぼる必要があります。光の方向性をいくつも出してしまうと、空間もよく分からない、何を見せたいのか分からない絵になってしまいます。

光にいちばん近い部分はハイライトをパキッと当てる。ライトが当たる部分は主役になりやすいので、そこに目がいくような絵作りをしてください」

 

Q.宙に浮くなど、非現実的なポージングはどのように考えますか?

佐久間講師「現実に存在しないポーズは、パッと考えるのは難しいです。

なので、イメージに近い資料をたくさん集めてください。

まずは、自分の描きたいシチュエーションを確立させること。想像できないことは、絵に表すことができません」

 

Q.学生時代にすべきことは?

佐久間講師「見識を広めてください。こういうのを描きたいと思ったときに、イメージに近い作品が3つくらい浮かぶようになるといい。

あとは、検索するときに日本語だけでなく英語もできるといい。資料の集め方も変わってきますよ」

 

Q.ラフから納品するまでの時間は?

佐久間講師「カードイラストは20時間から30時間と言われています。作品によっても様々ですが、絵を描く時間のみを合算すると、おおよそ3日分くらいかなと思います」

 

Q.1日のうち、どれくらいの時間を絵に割いていましたか。

百瀬講師「寝る間も惜しんで描いていました。社会人になっても、寝る以外の時間は絵に時間を使っていましたね。

世の中に遅れを取っているという危機感があったので、圧倒的な時間量を投下していました」

 

Q.別企業の方から、作品集には「2次創作を多く載せるべき」と伺いました。工画堂スタジオさんでは、いかがでしょうか。

百瀬講師「ポートフォリオは、企業によって変える必要があると思います。志望企業がどんな案件をしているかリサーチしていくと、何が必要かおのずと分かってくる。

そのテイストに近い作品を集めていくと、『こいつは分かっている』と印象付けられます」

 

Q.テレワークが多いと思いますが、現状はどうなっていますか?

佐久間講師「在宅が多いです。なので、自分からコミュニケーションを取っていくことが大事です。企業側も初めてなので、試行錯誤しながら進めていますね」

 

Q.外注するイラストレーターさんの選び方は?

佐久間講師「コミュニケーションが取れる人、納期が守れる人。思わぬ変更があったときに、やるか!と気持ちよくやってくれる人。

柔軟性があるイラストレーターさんのほうが、依頼を出す側としても頼みやすいです」

 

Q.フリーのイラストレーターさんは、どうやって見つけるんですか?

佐久間講師「pixivやTwitterでイラストを検索します。イメージに近いものを描いている人をピックアップして、こちらから連絡を取ります」

 

Q.フォロワー数が少ないのですが、自分のイラストを見てもらうにはどうすればいいですか?

佐久間講師「今の流行は何か、常にリサーチしないといけません。いきなりオリジナル要素を描いても反応は薄くないですか?

今、流行しているものを意識して取り入れていくと、目につく機会は増えていくと思います」

 

と、制作工程に限らず、学生たちの素朴な疑問に一つひとつ丁寧に答えてくださいました!

 

佐久間講師「まず、鍛えるべきはデッサン力です。基礎がある人は応用がききます。面接では、『この人は育つ!』という伸びしろを感じさせることが大事。

ポートフォリオには、ぜひデッサンを入れてください。そして、コンテンツをインプットして、必ずアウトプットしてください。

アウトプットを続けることで、自分の力になります」と締めくくりました。

 

 

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業界のプロ講師に指導していただき、ノウハウを惜しみなく教えていただけるのもゲームアカデミーの強みのひとつ。

今日学んだことを、進路選択や就職活動に役立てていってくださいね!百瀬講師、佐久間講師、ありがとうございました。

 

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