世界のeスポーツ産業トップランナーが集結! eスポーツビジネスカンファレンス「ESCONF TOKYO」開催【後編】

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前編に引き続き、2019年12月11日、ザ ストリングス表参道にてバンタンが主催するeスポーツビジネスカンファレンス「ESCONF TOKYO」のダイジェストをお届け致します。

 

 

<eスポーツの「開拓時代」を切り開く プレイヤーと企業との正しい関係性> 

Edge(エッジ) / CEO / アダム・ワイト氏

 

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「私は弁護士です。2009-2015年までスポーツローを扱ってきました。また、私はハースストーンというゲームを3万時間プレイした、競争を好むゲーマーでもあります。

さて、eスポーツ産業はあまりにも成長スピードが早いため、プロゲーマーにはきちんとした契約がなかったり、組織者から支払うべき対価が払われていない人がいます。

そこで、私の6年間の法律経験 + ゲーミングへの情熱から =テックプラットフォーム(エッジ)を作りました。

エッジは支払いなどがまとめてできるプラットフォームで、eスポーツのバックオフィスを提供しています」

 

契約書の中には『対価も明記されておらず到底受け入れられないもの』が多く、知らず知らずのうちにサインしてしまっている選手も少なくないと話します。

実例として2万ドルの賞金を得られると思ったら偽物のイベントだった事案、インフルエンサーから賠償をとれなかったケースにも言及。

また、人気が高まれば、契約を見直しプロゲーマーのパフォーマンスに応じた金額を支払う方が誠意ある契約だと語ります。

 

「支払いについてもeスポーツ業界では未だにローカルな文書で解決策を求めているのが問題です。当然払わないという輩も出てきます。

法律制度は敵対的ですが、プレイヤーも支払者側もが納得するようなフォーマットを作ることが我々の目的。

今後はプレイヤーがドラッグテストで陽性になったとき、またチーム同士の紛争が起きた時などの問題を法的に解決するような組織もできるでしょう」

 

 

<eスポーツと教育>

ibMEDIA(アイビーメディア)CEO・Epulze(イーポルズ) COO /フランク・シリフカ氏

 

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「eスポーツは間違いなく発展します。ブランド、ステイクホルダーにはチャンスがあります。eスポーツを視る人は平均して若く世界的に存在しています。

つまり、eスポーツはデジタルでグローバル。そして社会に対しても雇用市場に対しても貢献することができます」と切り出したのは、フランク・シリフカ氏。

 

 

「皆さんも以前は旅行代理店に行ってカタログを見て旅行を予約していましたが、今はオンラインでブッキングしますね。教育でも同じことが起きます。ここでミレニアル世代の5つの事実を紹介します。

 

1.デジタルインフルエンサーは、ビデオフォーマットを通じてミリオンのフォロワーを束ねる

2.ミレニアル世代のスターはデジタル世界から生まれている

3.広告主は、エンターテイメントを通じてミレニアル世代と繋がる

4.TV鑑賞時間は139分、ビデオゲームする時間は107分(一日)

5.eスポーツは新しいスポーツだ

 

「ただしeスポーツ業界は未開拓、未開発領域であり、構造ができていません。そして教育する側の人材も足りていません。教育現場がeスポーツと 折り合いをつけてソーシャルスキルやソフトスキルを教えるのが理想です」

また、コーチになるためのカリキュラム、ブートキャンプ、ホリデーキャンプの可能性も示唆。単にスキルを得るだけでなく、体を動かすこととセットにすることが大切と説く。

「eスポーツを広げていくためには教育者の理解を得ないといけません。シンガポールのある学校では、子どもたちがトーナメントを役割分担して開催し成功をおさめたケースもあります。また父兄への説明も欠かせません」と結論づけました。

 

 

<eスポーツにおける法的課題の解決と今後の展望>

西村あさひ法律事務所 松本祐輝氏

 

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<刑法(賭博罪)>

「日本における賭博の考え方は外国と比較して非常に厳格であり、外国で適法に行われていることが日本では賭博に該当してしまうことがあります。

海外では100ドル前後の参加料を支払い、そこから賞金が支払われる形式の大会も存在しますが、現状日本では参加料を徴収してそこから大会賞金を支払う事例は確認されていない。なぜなら賭博罪にあたる恐れがあるためです。

参加料をとって、賞金を払うためには賭博制度全体についての再検証が必要な状況です。ただし、プロゴルフの大会と同様に、賞金を第三者が提供する場合は参加料を徴収してもこれには該当しません」

統合型リゾートにおいては、一定のギャンブルが賭博の対象外になるものの、eスポーツそれ自体が賭博の対象外になるわけではないと説明。

日本におけるeスポーツベッティング(賭けごと)の導入にはもう少し議論が必要な状況だとまとめます。

 

<景品表示法>

 

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「ゲームメーカーは、自己のタイトルの大会に対して10万円までしか提供できないのではないかと言われてきました。

高額な賞金制大会は広告宣伝の手段としては重要ですが……過去に、景品表示法の整理がうまくできておらず、日本チームが出場しても賞金を受け取れないとした事例もありましたが、現在ではこの問題は解決しているといっていい状況です

 

プロとして活動している選手への賞金提供は一般消費者への景品提供とは区別され、通達上「仕事の報酬等」という形で整理することにより高額賞金の提供が可能であると説明しました。

「『日本では高額賞金大会を開催できない』というイメージの払拭や最新の法規制動向を海外に向けて発信していくことも重要です」と日本の現状について指摘しました。

 

このほか、現在解決に向けて活動しているという風適法の規制や、eスポーツに不可欠なゲームタイトルの利用許諾と著作権の課題、選手契約やチームのガバナンス、eスポーツビジネスにおけるM&Aや資金調達の展望についても説明しました。

 

 

 

講演会後には、ビジネス交流会を実施。プレゼンテーションの雰囲気とは異なり、フランクに意見交換が行われました。

 

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「具体的に何をしたいか明確に分かっている参加者が多い。ここからビジネスの可能性が広がると思う」と松井悠氏。

 

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「It was a really nice collaboration!グローバルとローカルなスピーカーが登壇し、とても良いコラボレーションになった」と、ibMEDIA(アイビーメディア)CEOフランク氏。

 

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日本におけるeスポーツビジネスの発展に弾みをつけるような一日となりました!

 

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