バンタンが主催するeスポーツビジネスカンファレンス「ESCONF TOKYO」が開催されました。
2日目は、会場をバンタンゲームアカデミー中目黒校舎に移してワークショップを実施。その模様をレポートします。
1.「e-sports&未来」<講師・リサ・コスマス・ハンセン氏 Niko Partners(ニコ・パートナーズ) 創設者/マネージングパートナー>
「テーマは『eスポーツと未来』です。この会場に、eスポーツのプロフェッショナルは?」
手は挙がりませんでしたが……お一人ずつ自己紹介していくと、広告代理店、システムインテグレーター、メーカー、メディアなど業種は多岐にわたりました。
eスポーツスタジオを開業予定の方も!
リサ氏「先ほどは手が挙がりませんでしたが、皆さんはeスポーツのプロフェッショナルですよ。
それでは日本における現時点でのeスポーツについてのキーワードを書き出してみましょう」
複雑、法規制がある、知名度が低い、未成熟、ゲーム依存症、孤立、ガラパゴス化、といった意見も聞かれました。
次に、これらのキーワードについてYESかNOで判断していきます。
Exciting ? →YES、 Structured? →NO 、ALL ages? →No、Promising? →YES!
「整理してみると、新しい産業でストラクチャー(構造)がない。ほぼ若い世代向けで複雑、またレギュレーションもあり認知度が低いです。
では、3年後の未来について考えましょう」
日本のeスポーツを世界と同じレベルにもっていくためには?
リサ氏「ではグローバルとの違いはどうでしょうか?」
参加者「賞金が桁違いですね」
リサ氏「eスポーツリーグはどうでしょうか?」
「『鉄拳』と『テトリス』以外には、日本にはプロの人たちがいない気がします」と、実況者のリチャード・ガルシア氏。
参加者も「eスポーツ自体が、未だまだ全然知られていないですね」と述べます。
今日の状況を未来に移行させるには?
リサ氏「未来へどうしたら前進できるのか?日本だけが遅れをとってしまうのは望ましくないですね。
ゲーム産業において日本は先進市場です。でもeスポーツでは逆!新興国です。
eスポーツの発展スピードは、日本のような先進国ではゆっくりであるという認識が重要だと思います。
eスポーツをグローバルレベルに成長させ、自社が恩恵を受けるにはどうすればいいでしょうか」
参加者「認知度を上げる」
リサ氏「メジャーなディベロッパーは?」
ここでは、複数の具体的な企業名とタイトルがあがりました。
リサ氏「これらのカンパニーが投資をして大会を主催しないと……何もチャンスがありません。日本で大会を主催する、と仮定して話を進めましょう。
こうしたトーナメント大会をするならサイバーカフェなどが必要ですね。
他に自宅のコンピューターも、メディアとスポンサーも必要です。ストリーミングビデオも必要です。他には?」
参加者「eスポーツアスリート!」
リサ氏「その通り。チーム、マネージメント、法的整備も必要です。規制が激しいと日本の選手には不利ですね。まず行わなければいけないのは既成分野の改革です。
文化庁にeスポーツの促進部門を作ることが望ましいです。2020年のオリンピックは日本のeスポーツのグローバル認知をあげられる機会と捉えてほしいです」
また、「モバイルがベースになれば世界共通のタイトルも日本に広まるのでは」と未来志向のディスカッションが行われました!
2.「eスポーツ&教育」<講師・ibMEDIA(アイビーメディア)CEO・Epulze(イーポルズ) COO /フランク・シリフカ氏>
「昨日のカンファレンスにも参加されていた方はマーケッターが示したデータでも、eスポーツに未来性があるのは分かっていただけでしょう」と切り出したフランク氏。
参加者から「海外では、どのような形でeスポーツはスクールに関わっているのでしょうか?」の質問に……
フランク氏「アメリカではeスポーツクラブが主流です。レベルはふたつあり、高校レベルと大学レベル。
Epulze社は、あるアメリカの高校にeスポーツをアクティビティとして提供し、放課後活動に採用されました。
すると、その隣の高校から『なんてことだ!学生を取られてしまう』という嘆きが出るほどでした。
ほんの一例ですがeスポーツに需要があることが分かります。またeスポーツチームにはSNSの使い方も教えないといけませんね。
チームができれば競争がうまれ、トーナメントが必要になります。
よリ良いチームを作るなら、きちんとした知識を持つコーチが必要です。メンタルコーチ、栄養の専門家も必要になるでしょう」
参加者「日本の場合は、中学や高校の放課後に、好きなスポーツを選んで練習する場合が多いです。eスポーツも同様ですか?」
フランク氏「同じです。ただしコーチは全員が資格を備えている訳ではありません。私のミッションは、こうした教育者側を教育すること。教育者には親も含まれています」と結びました。
3.「eスポーツ&テクノロジー」<講師・Edge(エッジ) (リーガルエージェント) / CEO / アダム・ワイト氏>
<eスポーツの歴史>
アダム氏「アーケードゲームがそもそもの始まりです。一人がプレイしている間に、後ろで待っている人が見ているという状況ですね。次に登場したのがカウチ(ソファ)eスポーツ。友だち同士が自宅のソファで座って、競い合っていました。
80年代、90年代はビデオゲームをするために集まるのが主流でした。そもそも、eスポーツの定義は1.競い合う 2.見られるもの 3.結果がハッキリ分かる、ことが条件です。
では皆さんに質問です。どのような要素がeスポーツのゲームタイトルを有名にしますか」
参加者「ルールが分からなくても、視聴者が楽しめるということではないかと思います」
アダム氏「その通り!消化しやすく、簡単に視聴できることが大切です。トゥィッチ#1の視聴者を分析すると80%が男性、20%が女性です。
24〜30 歳の層がいちばん多く、43%の方がひとつのゲームだけを視聴しています。
特徴として面白いのは、自分がプレイしないけれど通勤中に視聴する人もいることです。仕事があり子どもがいる社会人に多いですね」
<VRチャレンジャーリーグの可能性とは?>
アダム氏「VRリーグはフィジカルに動けることが興味深いです。2000年はブロードバンドの環境があった人、友人と戦術を練る事ができる人が有利でした。
では、これからの時代は誰がベストプレイヤーでしょうか?
私の予想ではアスリートがベスト選手になると思っています。単にゲームのハードソフトの進化だけではなく、VRを使うリーグでは人間のパフォーマンスを上げることを考えないといけません」
<ファンについて>
アダム氏「産業には観客を得ることが大切です。人々はなぜLEACUE OF LEGENDSの大会を視聴するのでしょう?
それは、プロ選手のサッカーの試合を観るのと同じ原理です。LEACUE OF LEGENDSのファイナル中継のほうがNBA最終戦の視聴者より多かったというデータもあります。
Eスポーツ のブロードキャスティングをマネタイズするには、今後リアルなヘッドセットをつけてゲームに入り込むなど新しい体験が必要です。
特にミレニアル世代の人たちは集中できる時間が短いと言われています」と、各スピーカーが得意とする分野においての情報発信と、より建設的な議論が交わされました。
講演会、ワークショップと2日間にわたって行われたESCONF TOKYO。
eスポーツへの理解が深まるだけでなく、日本におけるマーケット創出を加速させるような時間となりました!